いつだったか、金沢を訪れたときに、こんなことを聞きました。加賀友禅の人間国宝・初代の由水十久先生がご存命中でしたから、ずいぶん前ですね。
兼六園で有名な雪吊りは、木の枝が折れないように縄で枝を吊るのだそうですが、それは、細くて弱い枝のためにするんじゃないというのです。太くて強そうに見える枝のために吊るんです。細くても柔軟な細い枝は折れないけど、太くてかたい枝は折れちゃうんだそうです。細くても物事をやわらかく受け取る柔軟さが大切なんだね。太くて強いように見えても、やわらかくない心は折れちゃうんですね。白い白い雪の世界の中で、その時、子供たちのことを想いました。弱い心を持った子供たちは傷つきやすい存在です。でも強く見えても折れやすい子供もいます。その一人一人と対話し心を通わせながら子供たちの心に寄り添っていきたい。そうして初めて私たちには子供たちの強さや弱さが少し見えてくるんだと思います。